花が、笑う

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 学生たちがおおよそ読み終わったのを見て、教授は窓際へと立ち上がった。 「換気しましょうか」  窓を開くと、風がふわりと薄いクリーム色のカーテンを動かした。 「これはただの怪異な伝説でしょうか」  カーテンがまたふわりと動いた。 「いつの世も、残酷な村人たちはいます」  教授は窓のそばで、学生たちに背を向けたまま続けた。 「だって、ほら」 「耳を澄ませて」 「今も」  学生たちは身じろぎした。  風に乗って、外からかすかに聞こえなかったか。  おおおおおおおおん。
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