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その民俗学の講義は単位が取りやすい、と学生たちは聞いていた。
おじいちゃん、の教授だ。
だから、中には、講義の最中ずっと、隠れてスマホで何かを書き込んでいる不届き者もいる。ずっと睡眠学習で済ませる者もいる。
だが、ときどきそんな不届き者たちの目が、教授を向く時間があった。
民話。伝説。怖い話。
講義では、ときどきそれがテーマになる。
「小学三年生を百人用意して、『怖い話を聞く部屋』と、『愉快な話を聞く部屋』、どちらかに行ってください、と言ったら、何人が『怖い話』の方へ来るか、誰かに実験してほしいですね」と、ある日教授が言った。
圧倒的に『怖い話』の方だろう、と学生たちは思った。
ある日の講義で、教授が「読んでごらんなさい」と言って学生たちに渡したプリントには、こんな伝説が載っていた。
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