水中銃そして蒲焼

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 川にはタカちゃんとユウも来ていた。タカちゃんはエイちゃんの同級生。ユウは俺と同い年だ。  俺たちが川原に降りた場所は、山から下りてきた沢が川に流れ込むところで、深いよどみができていた。少し下ったところには川の中にごろごろと岩が転がっていた。  ふたりも水中銃を持っていた。タカちゃんのは黄色、ユウのは真っ白だ。胸まで水につかって、歩いては潜り、また歩いては潜りを繰り返していた。 「何やってんのあれ」 「ウナギだ」 「ウナギ?」 「こうやって」  とエイちゃんは水中銃の矢の端をゴムにひっかけてグイッと引っ張った。矢の端は三センチくらい折り曲げてあって、それを銃の端に打った釘にかけてとめた。 「穴ん中とか石の下に隠れてるのを突く」  パシン!  乾いた音を立てて勢いよく矢が飛び出した。折ったところがパイプにあたって矢が飛んでいかないようになっていた。 「カッコイイ……」  本物は見たことないけど、まるで本物だ。 「だろ」 「魚もとれんの」 「動かないのとか、草にかくれてるやつはな。でも、やっぱ狙いはウナギだ」
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