水中銃そして蒲焼

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 まあ見てろとエイちゃんは川に入って行った。俺は川原で三人のウナギ獲りを見ていた。  五分、十分。ぜんぜん獲れない。両岸からはミンミンジワジワとけたたましい蝉の声が降ってくる。太陽はこれでもかと照りつける。暑い。  だめだ!  俺はパンツ一丁になって川に飛び込んだ。  よお!  俺に気づいたタカちゃんとユウが手を振る。俺は流れに転びそうになりながら三人のほうに近づいていった。水が気持ちいい。  結局、エイちゃんとタカちゃんが雑魚を何匹かつかまえただけで、ウナギは獲れなかった。 「もういねえのかなあ」  ユウがつぶやいた。 「あしたは境川行ってみっか」  エイちゃんが言った。 「弁当持ってな」  言いながらタカちゃんはビクに入れてた雑魚を流れに放した。
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