ひねくれた気持ちの先に

　でもやっと、そちらからその時がやってきた。
　気付けば付き合ってからだいぶ時が経っていた。

「私…次春くんの本当の気持ち、教えてほしいよ…。私、知ってる…次春くんは私のこと、本当は好きじゃないって…私が告白したから、仕方なくだったんでしょ…？」

　ある日、ミズキは泣きそうになりながら、それでも自分なりに懸命らしくそう言った。

　バレるはずはなかった。
　上手く嘘をついていたはずだったから。

「次春くん、あまり人と深く付き合うことが無いんでしょう…？私といてくれたのも、私が付き合ってほしいなんて言ったからなんだよね…」

　あまりに突然過ぎて、俺の動きは止まってしまった。

　なぜ俺はそうまでして、コイツと付き合っていたんだ…？

　そうだ。
　ここで言えば、やっとコイツから解放される…それにコイツの、気持ちを突き落とした時に見られるだろう辛そうな表情も見られる…

「…今までごめんね…なんとなくだけど知ってたのに、私、ずっとそばにいてくれて嬉しかったから…」

「…。」

　口が、開かない。言葉が出てこない…

「次春くん、いつも周りをなんとなく避けてた…だから私、何か力になってあげたかったの…次春くん、一人で辛いんじゃないか、って思って…」

　何だ、コイツも同情か…笑ってやれ……

「でもね、本当に好きだったの…次春くんのことも、もっと知りたかった…。次春くん、私が悩んでいてもその後は気を使って合わせてくれるから…あんなに決断力ない私に、たくさん合わせてくれたから…。すごく、嬉しくて…」

　また、泣いている…嘲笑ってやれ…