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それからというもの、渉からの着信がぱったりと途絶え、連絡が取れない日々が続いた。
「ダメだ。ブロックされてるっぽい」
友人たちが代わる代わる渉にメッセージを送ってみても、既読も付かず、電話にも出ず、太一の心に不安が募った。サークルの同期にそれとなく探りを入れてみたけれど、どうやらここ数日は大学にも来ていないらしかった。勇気を出して千紗にメッセージを送ってみたけれど、まだ何の返信もない。
打つ手がなくて、途方に暮れる。
夜、円加さんとレストランでご飯を食べていた時も、ついぼーっとして会話が頭から抜けてしまった。
「太一?」
怪訝そうな顔を向ける円加さんに、太一は笑ってごまかした。
「ごめん。最近、課題が多くて忙しくてさ」
「顔色悪いぞ。眠れてねえのか」
すっと頬を撫でられる。不安そうな瞳が揺れていた。上から手を重ね、指先に口づけてみせた。心配されたくなくて気を逸らそうとしたのだけれど、逆に不安を煽ってしまったらしい。円加さんが盛大に息を吐いた。
「・・・太一、最近スケッチしてることが多いよな」
「え、そうだっけ?」
「無意識かよ。・・・あんた、前に言ってたよな。絵を描くことは現実逃避なんだって。なあ、今何かに悩んでんのか」
そんな話、覚えてたのか。自分でも気づいていなかったことを不意に指摘されて、一瞬息が詰まった。
「考えすぎだって。松木さんたちにデッサンを認められてから、描くことが楽しいんだ」
円加さんの瞳がみるみる曇っていく。苛立ったように眉をしかめた。
「・・・まあどっちでもいい。それより、明日のショーはそんなクマつくった顔で来るなよ。ちゃんと寝ろ」
むすっとした顔で鼻をつままれた。
「痛てって、ちょっと円加さん!」
涙目になった太一を見て、円加さんが楽しそうに吹き出した。それからいたずらっぽく瞳を細めて、太一のクマに指を這わせる。艶のある声が、太一の鼓膜を震わせた。
「眠れねえなら、今夜うち来いよ。添い寝してやる」
心臓が高鳴った。
・・・絶対、添い寝で終わらないだろ。
「それは、ぐっすり眠れそうだね。でも、円加さんの家は嫌だな」
「何でだよ。じゃあ太一のとこ行くか?」
太一の脳裏に、渉の存在がよぎった。自分でも、いつどこでストーキングされているかわからないのに、迂闊なことはできない。きっとまだ円加さんの家は知られていないだろうから、関係を終えられるまでは、下手なことはしたくなかった。
「こっから遠いじゃん、円加さん家。・・・そんなに待てるかよ」
「添い寝っつってんのに、何妄想してんだよ」
テーブルの下で、脚が絡み合う。円加さんが不敵に微笑んだ。くそう、赤面したら負けだ。
長い脚にスリスリと内側をさすられる。円加さんを煽ろうとすると、いつも倍にしてやり返されてしまう。経験値の差が憎い。
「・・・円加さん、やーらし」
「どっちがだよ」
円加さんがクスクスと笑った。楽しそうだから、まあいいか。うまく話も逸らせたみたいだし。
二人で会計をすませると、そのまま近場のホテルへとなだれ込む。スイッチが入った円加さんは、エレベーターが閉まると同時に太一を抱きしめた。
太ももが脚の間に差し込まれ、撫でるように刺激される。ぞわぞわとした快感がこみ上げた。太一も自ら腰を落とし、円加さんの脚に擦りつける。ドアが開いた途端、痛いほど強く腕を引っ張られ、目当ての部屋に引きずり込まれた。
口を開く暇もなく、せっつくように舐められる。吐息とともに、耳の中にぬるりと舌が侵入してきた。息があがる。体から力が抜け、腰から砕け落ちそうなところを円加さんが抱きとめる。ぶら下がるようにしてしがみついた。そのまま抱き上げられ、ベッドの上に落とされる。覆いかぶさる円加さんが、引きちぎるようにして太一の服を剥いでいく。
「悪い。今日余裕ねえわ」
理性のとんだ瞳が妖しく潤んでいる。体の奥が興奮で疼いた。
「ん。僕もだか・・・」
最後まで言わせてもらえず、唇が荒々しく塞がれた。舌が中でうねり、絡み合い、全てを舐め尽くされる。気持ちよくて、頭がうまく回らない。
円加さんが太一の後ろを広げ舌を差し込むと、あっという間にとろとろに溶かされる。そのままバックで激しく突かれ、何度も絶頂し、声が枯れるほど喘ぎ続けた。
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