94人が本棚に入れています
本棚に追加
**
「へえ。円加とそんな話をしたんだ」
「はっきりした性格のやつだってわかってはいたけど、面と向かって嫌いって言われるとは思わなかったっす。わりとキました」
昴さんはロックグラスを傾けながら笑った。
結局、太一は昴さんの誘いに応じた。Black VeilのVIP席は店内全体を見渡せる二階にあって、マジックミラー越しに、客たちがDJの音楽に体を揺らしている。
「悪い子じゃないんだよ。ただ、円加にはカズくんの気持ちが理解できなかったんだろうね」
「誰だってそうっすよ。僕だって、もし他の誰かかこんな不毛なことしてたら、くだらねーって止めると思うし」
太一はあえて軽く言った。昴さんが作ってくれた甘いカクテルを喉に流し込む。
「そうじゃなくて。カズくんが一途だからさ」
「そう見えます?」
「ああ、見えるよ。だから二度目は、来ないかと思ってた」
ギシ、とソファが軋む。昴さんは、太一の手からグラスを奪いカクテルを呷ると、太一の頭を引き寄せ口付けた。至近距離で見つめあう。少しずつ、甘い液体が口の中に注がれていく。昴さんに見つめられながら、太一はゆっくりと唾液の混じったそれを飲み干した。
美味しい・・・
もっと欲しくなって、自ら舌を絡めにいく。昴さんの口内に残った甘さをすべて味わうように、夢中でしゃぶりついた。
昴さんがクスッと笑った。ちゅる、と音を立てて唇が離れる。
「昴さんは、僕の話をこうやって優しく受けとめてくれるんですね」
「これでも人生経験は多いつもりでね。カズくんの気持ちはわかるから。でも円加は、あの子は誰にも本気になったことがないんだ。恋愛をゲームみたいに思っていて、相手を落として寝て、はいサヨナラ。ずっとそんな感じ」
ああ。・・・それは、すごく円加さんっぽいな。しっくりくる。
昴さんは、太一を自身の膝の上に跨らせ、ネクタイで太一の両手を後ろに縛った。するりと手をシャツの下に滑り込ませると、そのまま胸の上までたくし上げる。
「だからきっと、一人の相手にそこまで入れ込める、カズくんの気持ちがわからないんだよ。理解できなくて、苛立つんだ」
噛んでて、そういってシャツの裾を太一に咥えさせる。
「円加さんなら、一生相手には困らないでしょうね」
昴さんが、アルコールで冷えた舌を乳首に押し当てた。一瞬で鳥肌がたつ。そのまま、ちゅう、と強く吸われた。咥えたシャツを離してしまいそうになった。腰を抱き寄せられ、ズボンを下まで下ろされる。
「カズくんなら、俺が一生囲ってあげてもいいけどなあ」
昴さんは姿勢をずらし、ソファから少しずり落ちるようにして背もたれに頭をくっつける。太一の下半身の正面に、昴さんの顔があった。ニヤリと笑い、昴さんが口を開ける。
「ここに、入れて」
口元を指で叩きながら、太一の玉の部分を下からくすぐるように触った。ビクッと震える腰を、楽しそうに眺めている。
太一の息は上がっていた。ゆっくりと体を前に倒し、昴さんの開かれた口の中に自身の竿を差し込んでいく。根元まで入れると、昴さんがぱくんと口を閉じた。
「あ・・・い、んああっ」
太一の腰を掴み、昴さんは顔を前後に激しく動かす。ぬるぬるとした舌と唇で、表面が優しく撫でられているみたいだった。快感がこみ上げる。吸われ、しゃぶられ、ペースを乱される。無理やり追い上げられるようにして、甘い刺激が太一を煽っていく。震え、達した時のような脱力感がやってきた。けれど、太一のものはまだそそり立っていて、射精もまだしていなかった。
「フェラだけで甘イキしちゃったんだ。可愛いなあ」
「ん・・・あ、なん、で」
昴さんが、竿の先端にキスをした。額に貼り付いた髪をかきあげ、ロックグラスに残った酒を口に含める。そのまま、再び太一のものを咥えた。
ひんやりとした液体に、自身のものが浸される。表面がジンジンと痺れた。先ほどとは比べものにならない快感に、全身で酔いそうだった。
「はっん、ぁあっ・・・もち、いいですっあ、もっと、酔っ、わせて」
昴さんが、舌を大きく滑らせた。ゆるゆると顔を動かし、悶えるような快感を与えていく。たまらず、太一は射精した。昴さんは、液体とともに、放出された太一の熱を美味しそうに飲み下していった。
最初のコメントを投稿しよう!