Liar~ライアー~

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 (まい)が、……他にどうしようもなく都会に残してきた恋人が、突然会いたいと連絡を寄越したのは数日前のこと。  もちろん快諾して、約束の今日を迎えたわけだが。  本当にずっと一緒にいたから、別に何か月も経ったわけではないのに長いこと顔を合わせていなかったような気がする。  この年になってからの再スタートでいろいろな意味で余裕もなくて、こちらからは何とか電話やメッセージを切らさないようにするのが精一杯だった。  だから正直、こんなに早く機会が巡って来るとは思ってもいなかった。  しかし考えてみれば。  確かに物理的な距離だけ見れば途轍(とてつ)もなく遠いようにも感じるが、実際には東京から仙台なんて最短で一時間半ほどで移動できるんだから。  そうだよな、会いたければ会えばいいんだよ。  さすがに同じ街で暮らしていた以前みたいに、思い立ったらいつでもとは行かない。  けれど、本当に『会う』だけならそこまでハードルは高くないのだ、と俺は今回のことで再認識することができた。
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