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我ながら高揚した気分で出迎えた俺の前に現れた彼女は、何故か浮かない顔を隠そうともしていなかった。
元々表情豊かなタイプではないが、俺の前では他に対するのとは別人のように笑顔を見せてくれていたのに。
向こうで何かあったんだろうか。突然足を運んで来たのも、そのため……?
男の一人暮らしの割には、片付いているという自信がある家。
彼女を部屋に通して声を交わすうち、事情はすぐに飲み込めた。
「さよなら、彰人さん。あなたのことなんて、ホントは好きじゃなかったんです」
どうやらこの恋人は、俺に別れを突き付けるために遥々やって来たらしい。
「だからもう、わたしのことは忘れてください。これでようやく解放されますよ」
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