18人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
3
「あのさ、なんだかよくわかんねーけど、そばに居てくれなくていいから。帰ってくんない?」
「ねこはそばにいるのがしごとです」
「いやだから、仕事しなくていいんだって」
そばにいるねこは沈黙した。ロボなので表情は変わらないが、俺はなんとなく気まずくなった。
「おい?」
「ねこはそばにいるのがしごとです。あなたのそばにいます。でも、どうしてもいらないのでしたら、くーりんぐおふできます。でんわねこにでんわしてください」
「でんわねこにわざわざ電話しなくても、お前がクーリングオフだって伝えればいいじゃん」
「ねこはそばにいるねこです。くーりんぐおふのいらいはでんわねこがうけます」
融通利かねーな……
「大体、電話したくてもでんわねこの番号がわかんないんだって。お前、知らねーの?」
「ねこさーびすのせつめいは、ねこさーびすせつめいねこのしごとです」
なんだそりゃ! 面倒なのにもほどがあるぞ。
「あ、そう……じゃ、お前は仕事が終わるまでは帰らないんだな?」
「ねこはそばにいるねこです。あなたのそばにいるのがしごとです。そばにいるのがしごとなので、かえりません」
「帰らないのかよ!?」
嘘だろ? これからずっとこの猫ロボットがそばに居るのか?
最初のコメントを投稿しよう!