3

1/1
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

3

「あのさ、なんだかよくわかんねーけど、そばに居てくれなくていいから。帰ってくんない?」 「ねこはそばにいるのがしごとです」 「いやだから、仕事しなくていいんだって」  そばにいるねこは沈黙した。ロボなので表情は変わらないが、俺はなんとなく気まずくなった。 「おい?」 「ねこはそばにいるのがしごとです。あなたのそばにいます。でも、どうしてもいらないのでしたら、くーりんぐおふできます。でんわねこにでんわしてください」 「でんわねこにわざわざ電話しなくても、お前がクーリングオフだって伝えればいいじゃん」 「ねこはそばにいるねこです。くーりんぐおふのいらいはでんわねこがうけます」  融通(ゆうずう)利かねーな…… 「大体、電話したくてもでんわねこの番号がわかんないんだって。お前、知らねーの?」 「ねこさーびすのせつめいは、ねこさーびすせつめいねこのしごとです」  なんだそりゃ! 面倒なのにもほどがあるぞ。 「あ、そう……じゃ、お前は仕事が終わるまでは帰らないんだな?」 「ねこはそばにいるねこです。あなたのそばにいるのがしごとです。そばにいるのがしごとなので、かえりません」 「帰らないのかよ!?」  嘘だろ? これからずっとこの猫ロボットがそばに居るのか?
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!