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 俺はそばにいるねこの腕から逃れようともがいてみたが、ロボットに腕力で勝てるはずもない。カッコ悪くジタバタするばかり、疲れるだけだった。おかげでちょっと体が温まったけど。  俺はあきらめて息をついた。 「わかったよ……でもこの体勢はなんか恥ずかしいからさ、いったん放してよ。そこの自販機でコーヒー買いたいし」  そう言うと、そばにいるねこは大人しく従った。でも、俺が自販機に向かって歩き出すとぴったり体をくっつけて付いて来る。しかも肩じゃなく背中にひっついているのだ。背後霊のごとく。いや、背後霊だってもうちょっと距離感心得てるだろ。ゼロ距離だぞ、ゼロ距離。 「うっとうしい奴だなぁ……」  ぼやきながら、自販機にスマホをタッチしてホットコーヒーを買った。熱々の缶が冷たくなった指先にじんわり沁みて気持ちいい。 「お前はなににする?」  ロボに飲み物なんて与えても良いのかな? と、思いつつも聞いてみた。もし飲めるんだったら、缶ジュースくらいおごってやる。 「ねこはそばにいるねこです。のみものをのむのは、のむねこのしごとです」 「マジか。飲むのまで仕事なのかよ」  じゃあ、こいつはホントにそばに居ることしかできないんだな。  それって、少し寂しいような気がした。  だって、たとえば俺がこいつの好きな食べ物をあげたとしても、仕事じゃなきゃ食べられないってことだろ? まあ、好物があるのかもわからんが。
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