完璧ヒーロージャスティスマン!

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 私はデストロイヤー。悪の秘密結社の社長だ。  我々は日々怪人を派遣し、世界を混乱と恐怖で覆い尽くす活動をし、最終的には全次元宇宙シェア1位を取るのが目標だった。  少し前にジャスティスマンをヘッドハンティングしたことによって、我が社の事業は大きな変化を遂げた。彼は自分のような行き場のない怪人を積極的に採用し、適切な場所へ派遣する業務を強く希望した。その結果、これまでは悪事のみだった経営方針が、どちらかと言えば慈善事業へと変化していった。  また、怪人と人間の友好関係を結ぶ手助けをしたということで、全次元宇宙平和維持機構より表彰をされた。それにより、我が社の名前は全次元宇宙に知れ渡り、一躍大企業へと成長した。 「もともとは『悪の秘密結社』のはずだったんだけどなぁ。」  誰もいない社長室でひとり愚痴る。 「んー。まぁ、でもいいか。もともと悪事が下手だったのに、『秘密結社と言ったら悪だろう!』って言って始めたことだし。一応目標の全次元宇宙シェア1位は取れたし。」  そこまで言って、ふと気づいた。 「あ、そっか。私も知らず知らずに自分の心に嘘をついてたのか。」  フフッと自然と笑みがこぼれた。  今日も一日頑張ろう。心の底からそう思えた。
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