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人だかりができている。拡声器で誰かが声をあげていた。
「地球の皆さんおはようございます! 私はエビル星からやってきた侵略者です。
その名はデストロイ総統です! 地球は私たちによって支配されました! すみやかに皆さんは我々に降伏してください!」
は?
朝っぱらからどんなバカよ………
こっちは昨日の変態にうんざりしてんのに。思いつつ、人だかりに混ざりついつい見てしまう。
「我々デストロイ総統一同は地球を征服するため、地球の言葉を勉強しました。まず日本から征服していこうと思います!」
拡声器を持っているのは長髪の青い肌をした背の高い美男子であった。脇には全身黒いタイツをまとった男共が並んでいる。
動画の撮影かなーと思いながら、あの青い肌をした人は黙ってりゃモテんだろうなアホと決めた。
地球を侵略しに来た宇宙人が拡声器持って、降伏しろとかほざいてるし。
昨日の変態を思い出し、胸がムカムカした。
「あれメイク?」
「作り安いのか気合い入れたコントか、朝からよくやるなー」
気楽にみんなそんな話をしている。
早く会社行かないと。雛が歩き出すと。
「それでは今から侵略を開始しまーす。地球の皆さんは歯向かわないでくださいねー!」
は?
悲鳴が上がり出した。
嫌な予感がする。
「え?」
黒タイツの男が重量上げのように駐車している普通乗用車を持ち上げていた。
「…………………」
「危険ですから地球の皆さん離れてください」
黒タイツの男が言う。わりと真面目そうな人の口調であった。車をポイっと投げると、車は一回転し地面に激突し屋根が潰れた。
「私の車が!?」
中高年の身なりのいいサラリーマン風の男が愕然としている。
人だかりの雰囲気が変わり出す。
「今のテレビじゃないぞ?」
「ど、どうなってんだ!」
「これが私の部下の戦闘員の力です。さあ、者共破壊活動を開始せよ!」
ちょ、ちょっと………
戦闘員たちは車をひっくり返し始め、街路樹の銀杏を根本から抜いたりする。
「警察を呼べ-!」
「おい、やめろお前ら!」
辛うじて人だかりの男たちはデストロイ総統一同を、止めに入る。
昨日の変態に続いてなんなわけ!?
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