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「本当にヒーローが戦ってるの?」
「やっぱテレビかなにかかも」
市民たちの中には写メもで撮りだす人もいる。
雛は知っている。昨日ナンパに割り込み大学生を殴り付けたシルバーウィングマンはマスコミが取り扱った。多分これはテレビじゃない。
「シルバーパンチ! シルバーチョップ! シルバー体当たり!」
黒タイツたちも半数が倒れ身動きがとれないようだ。骨とかも折れているかもしれない。
「うぬぬぬ。仕方あるまい………」
雛はしまったと思った。私が人質だ。動くとこの女を殺すぞなんて言ったら、シルバーウィングマンは戦えなくなるかもしれないし、わたしも死ぬかもしれない。
「者共! 退却だ!」
雛は解放された。あっさりあきらめる悪党だなー思いつつ。
「スーパーで買ったタマゴとひき肉はちゃんと持ったか!? 今夜はオムライスとハンバーグだからな! シルバーウィングマン、今日のところは負けを認めておいてやる! だが地球は私の物になると忘れるな!」
そう言うとデストロイ総統は走り出す。黒タイツたちも後に続いた。
「大丈夫でしたかお嬢さん」
少しドキリとした。
「まあ、なんとかね。心臓に悪かったけど」
「デートしません?」
「は?」
雛は唖然とした。
「ありがとう助けてもらったことは感謝するけど、デートはお断り」
シルバーウィングマンはがくっと肩を落とす。
ああ、助けてもらった相手なんだからもっと言葉を選べばよかったと雛は少し後悔した。
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