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「とりあえずこのお姉さんに謝れ!」
自称シルバーウィングマンが勝手に怒っている。本気だったらマジでヤバい奴なんだろーなと引きたくなる。
「なんだあいつ?」
「コント?」
物珍しさから人が集まってくる。こっちまで恥ずかしくなりそうだ。
「お前さ! うるさいよ!」
若い男二人もキレ気味だ。そりゃこんなコスプレ男の言う通りなんかにしたくないだろう。
「やもえん! 成敗!」
なにがしたいんだろーなーと考え出した瞬間だった。
思った以上に鋭いパンチが若い男一人の胸にアッパー気味に突き刺さる。
若い男は中空で数回回転し、うつ伏せのまま地面に叩きつけられピクピク痙攣し出した。
唖然。
「見たか! 正義の力を!」
シルバーウィングマンは誇らしげだった。
「ヨシオ! 大丈夫か!? 誰か-救急車っ!」
若い男の叫びに我に返ったが。なにが起きたか把握はできないままだった。
集まった人達も騒ぎ出す。
「今のヤバい倒れかただぞ!?」
「け、警察も呼んだほういいんじゃ!」
「ちょっと待て! 私は正義の味方で!」
シルバーウィングマンも慌て出す。
「げ…………」
雛は気付いた。殴られた男の歯が、コンクリートのビルの壁に刺さっていた。
本能的に、
「きゃああああ!」
雛は逃げ出した。
「ちょっとお嬢さん!?」
シルバーウィングマンが呼び止めた気がしたが無視だ。全力でかかわっちゃいけない。
これが雛とシルバーウィングマンの出会いであった。
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