ヒーローになればオレもモテるはず

地球にピンチがやってくる

　雛は最悪の気分で目覚めた。昨夜はひどい夢でも見たのだろうか。あのヨシオって子は絶対に無事ではないだろう。ワインも飲まずさっさと布団に入り、いつの間にか寝た気がする。

　あんなこと現実にあるはずがない。悪い夢だったのだ。

　さあ、会社に行かないとパジャマのまま朝シャンし髪を整えメイクをし。もちろん朝食も食べる。手早やいのはトーストだ。ベーコンとチーズを乗せ、トースターに。

　ビタミンもとらないといけない。フルーツ牛乳を冷蔵庫から出す。住まいはアパート、2LDKの比較的家賃が安い部屋だ。

　女の子らしく整理整頓し、ぬいぐるみとサボテンを並べている。何故サボテンかというと、あんまり手がかからないからだった。

　昨日はアナコンダと戦う動画を見逃した。まあいいや。次は総合格闘技のリングに客席から上がり選手と戦ってみる動画をやるようだし。

　そういえば今日の運勢は？　雛は毎朝テレビのニュースで占いを見ている。別に信じていないが、自分の星座が上位だったり一位ならそれだけでラッキーな気分になる。

　リモコンのスイッチを押すと、ニュースが映った。

「この問題にたいしてどう思われますか？」

「まず、テレビがオワコンかどうかって話なんですが、テレビが本当に終わったとしたらそれはそれでかなりネットで尽きる話題も多くなり……」

　どうでもいい。

「次のニュースです。昨夜大学生が殴られ中空を回転して倒れ、全治３ヶ月の入院が必要と搬送された先の病院で診断されました。目撃者の話では、頭にマスクをかぶった男の仕業とのことでした。警察はこの男の行方を探しています。とんでもないダイナマイトパンチの持ち主と格闘技団体から注目する声が上がっています」

「………………」

即座に雛はテレビを切った。