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『今日部屋の内見行ってきた!』
『4月からここに住むよ』
彼が東京へ行くことを知った数日後、アパートの部屋の写真と共にそんなメッセージが送られてきた。
……こんな写真、見たくなかった。
彼は前に進んでいるのに、私だけが取り残されて、1人うずくまっている現実を突きつけられたような気がした。
本当にもうしばらくは会えなくなる。
時間が取れても簡単には会えない場所に、彼は行ってしまう。
……やめてよ、遠くへなんて行かないで。ずっとずっと、私の隣にいてよ。これから離ればなれなんて、何日も何ヶ月も会えないなんて、私は耐えられないよ。
そう書いて彼に送り付けてしまいたかった。
『すごい! めっちゃ綺麗な所だね!』
それでも本心とはかけ離れた嘘を送る。
私には本当の気持ちを彼にぶつけることなんて出来なかった。
『急なんだけど明日遊べる?』
自炊やら洗濯やらの話が済んだ頃、彼は突然そう言った。
『明日は暇だから遊べるよー』
いつもなら遊ぶ約束をした瞬間から楽しみで心が踊るけれど、今日はそんな気分にもなれなかった。
多分、明日で最後。
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