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「んじゃあ、俺こっちだから。またな」
「明日ね」
駅について、別れる。彼は電車で通学している。どこか聞いたら、私のおばあちゃんが住んでいた所だった。なんで遠いのにこっちの学校を受験したのか聞いたら、上手く流された。
噂では彼女がいるとか聞いたが、彼女はいないと本人から聞いた。いたら今こうして一緒に帰れていないし。
「はぁ、」
気になる、来た理由。でも聞けない。しつこく聞いて嫌われても嫌だ。
「ただいま~」
「おかえりなさい」
リビングに入ると、母が優しい笑顔で出迎えてくれる。
「お姉ちゃん、ただいま」
リビングの一角。そこには花やお菓子が置かれている。あの飴玉も。そして、その真ん中には姉の写真。
そう、姉は亡くなっている。三年前、私が中学二年生の時だ。雨の日に、滑った車がたまたま姉がいた歩道に突っ込んだ。私より二つ年上の姉は、綺麗で可愛くて明るくて、独占欲は強かったけど優しかったし大好きだった。そんな姉が突然いなくなった。もちろん悲しかったし何日も泣いた。でも今は立ち直ってしっかり前を向けている。
「お母さん、今日のご飯なにー?」
幸せだ。
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