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コンスタンツェは私にいくつもの絶望をくれた。
さあ、彼女にお返しをしよう。さりげない、ごく目立たない刃渡り5インチのナイフを。
いつもありがとう、と感謝の言葉を添えて。
私達の行動は完全に合理的だ。私達は彼女の枕元にそっとナイフを置いた。髪一筋傷つけないように、静かにそっと、新しい夢とともに。
彼女は悲鳴をあげて跳ね起きる。そして枕元に、夢で彼女を刺したナイフとまったく同じものを見出して、再び叫び声を上げるのだ。
しかしコンスタンツェはやがて冷静さを取り戻す。私から身を守るために何をすべきか、彼女は考える。それは実は私達の吹き込んだ考えなのだが、彼女はそれを名案だと思いこむ。
ある日曜、礼拝堂で。
ミサを終え、家路につく人々がいっせいに出口に向かうその真っ只中で、隠し持っていたナイフを振りかざし、コンスタンツェは私に襲いかかった。
私は完全にタイミングを読んで振り返り、悲鳴を上げた。悲鳴をあげながらそばにいた女の身体をつかみ、突き飛ばした。
血しぶき、新たな絶叫。
唖然として凍りついていた人々が、ようやくコンスタンツェをとらえようと動き出す。
そしてこのときはじめて、想定外の事態が生じるのである――
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