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当然のこと、コンスタンツェとブリュンヒルデは私を見つけ出せなかった。そして彼女たちは私を探すのを早々に諦めてしまった。
――あんな子のことなんか置いていってしまいましょう。
コンスタンツェはそう言ったと、ブリュンヒルデは後に私に話した。
――そのうちどうせ、泣きながら出てくるに決まっているわ。
――でも、危なくないかしら。
コンスタンツェに逆らったことのないブリュンヒルデがおずおずと言うと、
――だからよ。死ぬほど怖い目にあえばいいんだわ。
美しい金髪を揺らして、コンスタンツェは楽しそうに笑ったのだと言う。
そんなことは私には知るよしもない。
私は等間隔に石像が並ぶ長い長い廊下が次第に暗くなっていくのを感じながら、すべてのものの影が長く伸びていくのを眺めながら、コンスタンツェたちがまいったするのをただ待っていた。城の安全地帯では見たことのない、夜というものが近づいてくる気配に漠然と怯えながら。
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