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彼はそのとき地方へ出張に行っていたのだ。
信号無視した自動車に引かれたらしい。
相手は大学生だったようだ。
一瞬携帯を見ようとしたんだとか…。
一瞬。
私が彼の運ばれた病院についた時、
彼はもうこの世を去っていた。
そして、車に引かれた彼の体は決していい状態とは言えなかった。
私は頭が真っ白になる。もうそこから記憶が曖昧だ。
私は家に帰って何日も泣いた。
何もしたくない、生きる意味が何も見つからない。
つらい。
彼に会いたい。
私は何日も風呂に入らないでベットに横たわっていた。時々友人や母さんが来て何か食べさせようとするけど何にもおいしくない。味がしないのだ。
食べるのが好きだった私がこんなことを思う日がくるなんて。
もう何にも考えたくなかった。
何日たっただろうか、涙って枯れるみたいだ。
悲しいのに涙の流し方を忘れてしまったようで、何かの線を越えたみたいに…もう涙は出てこなかった。
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