正子

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正子

死にたかった、と言っても自殺願望があったわけではない。死のうとしたことなどただの一度もない。 実際のところ、私は幸せだった。 地方都市周辺のニュータウンに小さいながらも家を構え、会社員の夫と高校生の娘、中学生の息子とごく普通の毎日を送っていた。 平凡だけれども平和な日々。 さりとて、それも失われてしまった。 何があったのだろう? 今朝はいつも通り家族を送り出し、洗濯と掃除を済ませて、パートに出かけたはずだ。自転車に乗っていつもの道をいつも通りに。 「え?!」 そうだ、横道から急に車が出てきたのを覚えている。 ふと、自分の身体を見ると頭が包帯でグルグル巻きだ。 痛かった…のかな? 事故だよね、コレ。
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