3人が本棚に入れています
本棚に追加
正子
死にたかった、と言っても自殺願望があったわけではない。死のうとしたことなどただの一度もない。
実際のところ、私は幸せだった。
地方都市周辺のニュータウンに小さいながらも家を構え、会社員の夫と高校生の娘、中学生の息子とごく普通の毎日を送っていた。
平凡だけれども平和な日々。
さりとて、それも失われてしまった。
何があったのだろう?
今朝はいつも通り家族を送り出し、洗濯と掃除を済ませて、パートに出かけたはずだ。自転車に乗っていつもの道をいつも通りに。
「え?!」
そうだ、横道から急に車が出てきたのを覚えている。
ふと、自分の身体を見ると頭が包帯でグルグル巻きだ。
痛かった…のかな?
事故だよね、コレ。
最初のコメントを投稿しよう!