正子

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バタバタと人が入ってきた。 警察官に連れられてきたのは真理子さんだ。走ってきたのか息が上がっている。 「お巡りさん!何があったんですか!」 もう泣きじゃくって大変だ。 手には店のエプロンを握りしめている。 「あなたのお店の従業員さんで間違いありませんね?」 「彼女のフルネームを教えてください」 小銭入れとスマホだけを入れたポーチを下げ、自転車のカゴに店のエプロンを入れていた。 私はそんな身元不明の女だったようだ。 「彼女の住所はご存知ですか?」 「ご家族の連絡先は分かりますか?」 「ありがとうございます」 泣きながら喋る真理子さんは何を言っているのかよく分からないくらいだが、女性警察官が親切に対応してくれていた。
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