正子

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そんな地味な私の唯一の奇跡は夫と出会ったことかもしれない。 彼は明るく楽しく社交的な人だ。 ちょっと残念なイケメン、とからかわれ誰からも慕われいつも輪の真ん中にいるような人だ。 「佐藤さん、飲み物足りてる?」 新歓コンパの時にそういって声をかけてくれた。いつも通り端っこに座っていた私が気の毒に見えたのだろうか、メニュー片手にやってきた。 「ええ…と?」 「あ、3年の鈴木です。今年、幹部やるんでヨロシク」 「あ、よろしくお願いします。ウーロン茶をいただけますか?」 「りょーかい」 「なに?誰?」 「あんな子いたっけ?」 女性の先輩が彼にまとわりつく。 綺麗な人だな、彼女かな。 その日はそんなことしか覚えていない。
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