わたしという何か

真理子さん

店の電話が鳴ったのは、コロッケの仕込みが終わったころだった。

「まぁちゃん！出れる？」

と声をかけてみて彼女がまだ来ていないことに気が付いた。
電話はまぁちゃんからかもしれない。
子供に何かあったかな。

「中央署のカワカミと申しますが」

聞き慣れない男性の声

「キッチンマリコはこちらで間違いないですか？エプロンってありますか？ええ、ピンクの。スズキさんという方はお勤めですか？」

聞くと事故に遭った女性がここのエプロンを持っていて、裏にマジックでスズキと書かれていたという。

我ながら冷静だったと思う。
一旦電話を切り、電話帳を調べて中央署にかける。カワカミさんという人が実在することを確認したら手が震えてきた。