いびつ

2/4
前へ
/74ページ
次へ
「うん!今日は普通に作ってくれたんだ」 「……だいたい、そうしてる」 「ふーん?」 「なんで、ちょっと残念そうなんだよ」 いやだってそうじゃん? こんな普通なんて面白くない。 君だけは俺に「普通」を求めないで欲しい 「歩って自分のせいで俺が死にでもすりゃ、ずーっと引きずって生きてくれそうじゃん?もしくは耐えかねて自殺してくれそう。俺的にはどっちでもいいけど、これからの人生を俺の為に生きてくれてるみたいで、最高」 いっそ、そうならないかなーと本気で考えてしまう。 その時、歩がカチャっと音を立ててお茶碗の上に箸を置いた。 「まだ、眠い?機嫌悪いよ」 「…うん。ちょっと頭がぼーっとするかな」 「そう…」 あ、酷いな。 冷たい一言で片づけられてしまった。 「まだ寝てたら良かったのに…」 「ちょっと前に起きた時、歩がいなかった」 黙って帰ったのかと慌てて布団を跳ねのけると、少し離れた所でテレビを見ていた。 「いつまでも抱き枕にされてたら暑いんだってば」 「どうでもいいけど、食べ終わったら一緒に寝るぞ」 「……」 歩が心底嫌がっているのは分かっている、伝わっている。 けど 拒否なんて許すわけがない 「いま頷いてくれたら、痛いことはしないから」 「………する?」 何を?なんて惚けるつもりはない。 「しない」 「……わかった」 ―――――――――― (君が隣にいなきゃ、うまく眠れない) (ほんとうに死ねばいいのに)
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

286人が本棚に入れています
本棚に追加