名探偵になったら言いたいセリフ

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「犯人はお前だ!」 やっぱりこれだよね。探偵になったらこれを言わなきゃ。数々の難事件を解決してきた私だけど、この瞬間が一番気持ちいい。でも相手は焦るよね。「俺はやってない!」って叫んでるもん。  まあ彼、やってないんですけどね。やってないんですよ。周りの人も「ええっあなたが?」みたいな顔してるけど、彼やってないですから。この寂れたホテルに泊まりに来ただけの善良な一般市民。超可哀想。でも私はこの事件を解決しなければならない。なぜなら名探偵だから。こういう時どうするかって言うと「もしかして俺、知らない間に殺してた?」って思わせるのがいい。無意識って怖いからね。だから少し細工をしてあります。 「あなたが着てる上着のポケットの裏、見せてもらっても良いですか?」 「別に良いが?うわっ!なんだこれは!」 そう、彼が上着脱いだ隙に被害者の血を付けておきました。ま、細かい事は置いといて。 「あなた、何かに触った後ポケットに手を入れる癖があるなと思って。それが人を殺めた時にも出てしまったのでは?」 「お、俺は知らない!」 もう一つドッキリを彼の部屋に仕掛けてきました。被害者がバラバラ死体で見つかったんだけど、一部がまだ発見されてない。そう、私が持っていたから。ま、細かい事は置いといて。で、その一部、指を彼の部屋に忍び込んで隠しておきました。 「じゃあ部屋を調べさせてもらっても良いですか?」 「好きにしろ!」 何も見つからないと思ってるんでしょう。でも私が隠しておいたから。ピッキングもお手の物ですよ。刑事さんがすっとんで行きましたね。 「あったぞ!指だ!」 そりゃあるよ。 「馬鹿な、俺は……」 「人間は潜在的に様々な情報、価値観を脳に蓄積しています。だからあなたの奥底の意識が人を殺す事を望んだのでは?」 「でも俺は、葬式で死体を見るのも怖くて……」 「怖いってのは立派に興味がある証拠です。でもそれをおおっぴらに出来ないから心の奥にしまい込む。何かのストレスで殺人衝動が表出したとも考えられます。寝てる間に動く人も居ますから、意識がある時に人を殺してるとも限りません。刑事さん、あとはお願いします」 あ〜連れて行かれちゃった。  え?何で私が被害者の血や指を持ってるのか?それになんで嘘の犯人をでっち上げるのかって?そんなの決まってるでしょ。私が犯人だから。誰かに罪を背負ってもらわないと、もう人殺せなくなっちゃうでしょ?
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