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罪人
突然だが、俺が好きな物がある。一つは本ともう一つは好きな女の子がいる。
でも、その女の子は吸血鬼で1週間後の深夜に生贄にされる。村の掟で吸血鬼を助ける事は犯罪らしい。
まだ、10歳の俺は大人には色々な所で絶対に勝てない。でも、どうしても彼女の事が好きな俺は助けたい。彼女と一緒に生きたいと子供ながら思ってしまった。
それから、俺は作戦を練った。
まだ5歳の時の記憶を頼りに吸血鬼が生贄にされた日を必死に思い出した。
吸血鬼が監獄に出される日は当日で村外れの祭殿に連れて行かれる。その時に一緒に行く大人の警備は2人だった記憶を思い出した。その時が一番、隙がある。そこが一番のチャンスだ。俺はこの日に罪人になる覚悟を決めた
ー当日ー
警備の男が歩いている。やっぱり記憶の通り
二人だけだ。俺は弓矢を取り出し、火矢を木に
点火する。周りはすぐに大火事になり煙で何も見えなくなる。周りの警備が焦りだし、俺は彼女に手招きをして逃げろ!と必死にジェスチャーする。彼女はそれに気が付き自分の方向に走ってきた。俺はその手を掴み、彼女と必死に逃げた。彼女は『ありがとう』『ありがとう』と泣きながらお礼を言ってる。俺は『君が無事で良かった』と笑いながら返す。
ー十年後ー
ある血を体の中に投与すれば、どんな病気でも治る時代になった。
僕も20と立派な大人になった。もちろん、彼女も生きてるよ。まぁ、あの助けた日から『いたい…』『ころして…』しか言わなくなったんだけどね。あの時の『ありがとう』は何だったんだろ。
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