旅は道連れ

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 ~昨日~ 「……なんだそれ、もう一回言ってくれ」 「だから、稔輝提出物全く出してないでしょ? 明日までに提出物全部耳そろえて出せば成績に入れてくれるってさ」 「そしてその明日ってのは」 「あー……呼び出されたのは昨日のことだから、今日かな」    一度説明したことを何度確認しても、勇が嫌な顔ひとつ見せずに答えてくれているのを見てやっぱりこいつはいい奴だと思う。俺だったら絶対不機嫌になってるし。 「いーよ、どうせ無理だったし」 「ごめん、伝えるの遅くて」 「お前が気にしすぎ」 「……それがさぁ、その場合赤点取ったら屋上から……」 「屋上から……何だよ」  勇が口ごもる。俺も《屋上》という単語にあまりいいものは感じられないが、それでも気になるものは気になる。 「屋上から、ひもなしバンジーだよ」  ぬぅ、と体育の川崎が口をはさむ。この先生、本気で暑苦しい。  …………っていうか、ひもなしバンジー!?
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