永遠の愛を誓うのに必要なセレモニーアイテムはプライスレスで

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「彼氏がいるみたいだって感じた時、すごくツラかった。だったら、いっそ会わない方がよかったって、思った。でも、センセが失恋して、公園で泣いていた時、チャンスだと思った。もう、この機会を逃したら、もう、センセを手に入れるチャンスはないかもしれないって……だから、強引に、奪っちゃった……ゴメン」  ポロリ、と尊流の目から、涙が一筋流れ落ちる。それは、とても綺麗で。あの時、泣いていた小さな男の子の顔は、もう思い出せないけど、きっと、こんな顔をして、泣いていたのかもしれない。    私は、その涙を、指先でそっと、ぬぐいとる。 「……謝らないで。私も、幸せだったから……ううん、幸せなんだよ、今も。こうやって、尊流と二人でいられて、とっても幸せ。尊流が、強引に奪ってくれなかったら、私は、きっと尊流とは、一緒になれなかった。だから、いいの、嬉しいの」 「……センセ……舞子……」  フワッと、尊流が、私の首筋に腕を巻きつける。そのまま、私の体を引き寄せて。 「好きだ。舞子。これからも、ずっと、愛してる」  耳元で囁いて、それから、私の顔を見る。 「私も、好きだよ。ずっと、ずっと、尊流を、愛してる」  尊流の目を、しっかり見つめて。それから、尊流の顔が近付いてくるのに合わせて、目を閉じた。  合わさる唇。  さっき食べた、尊流の手作りクッキーの味。ちょっと焦がしてしまって、ほろ苦い、でも甘い。  尊流が、私のために、初めて作ってくれたクッキーの味。  それは、他では味わうことが出来ないような、世界にたったひとつの、特別な口づけだった。
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