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そんな気持ちがあって、帰りに本屋で行く予定もないのにランドのガイドブックとか買ってしまった。
まあ、脳内で楽しむって言うことで。
あと、いずれ行くときの予行練習?
「別にいいんじゃない? あそこまで規模が大きくて混雑しているなら、わかんないでしょ? ……でも、今の時期だと、チケット取れないよね。ゴールデンウィークまで、待ってくれる?」
「そんな、いいよ、無理しなくて。尊流、今年は受験生じゃない? 忙しいよ?」
「だから、忙しくなる前に。夏休みとかは、もう厳しいと思うしさ。それに、本当はふたりきりで行きたいけど……」
「えー、私も行きたい! 舞子ちゃんと遊びたい」
「そう言うと思ったけど……お父さんと行けばいいだろ? 今夜も放置してきたのかよ」
夕食の席にちゃっかり混じっているルミさんに、尊流がちょっと恨めしそうに文句を言う。
「パパは今夜いないもーん。送別会だもーん……舞子ちゃんは、送別会とかあるの?」
「あ、一応、31日の夜に。平日だから、簡単にって」
「センセ、気を付けてよね? 次の日自分は休みだからって。飲み過ぎないでよ!」
「分かってます。終わったらすぐ帰ってくるから」
「舞子ちゃん、4月1日、休みなのよね?」
「はい、春休み前半は休まなかったから、始業式前日の6日までまとめてお休みです」
「だったら、1日、一緒にお出かけしない? 車出すから、ドライブしましょうよ」
「やだよ、おふくろの運転なんて」
私が答える前に、尊流が反対する。
ていうか、ルミさん、運転免許持ってるんだ?
「私は運転しないわよ。パパが運転してくれるから」
「……尊流の、お父様?」
ルミさんの再婚相手で、尊流の義理のお父さん、だよね?
ルミさんとはラブラブだって聞いているけど、尊流の口からはあまり聞くことがない存在。まあ、ちゃんと「お父さん」って呼んでいるところを見れば、そこまで悪い関係じゃないと思うんだけど。少しよそよそしさはあるけど。
「お父さん? 仕事いいのかよ? 一応、年度始めだろ? 入社式とかあるんじゃ?」
会社経営しているって聞いてるけど、普通の会社は1日って忙しいよね……まあ、学校も一応、辞令交付とか校長訓話とかあるんだけど、こだわらずみんな休んでいる。学校にもよるかも知れないけど、うちはわりとフランクだ。
「うん。辞令とか挨拶とかすれば、午前中で仕事終わるって。お昼くらいから出掛けて、夕食一緒に食べましょう。ご馳走するわ」
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