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と言うわけで。
送別会は一次会だけでなんとか逃げだし、翌日はゆっくりめに起きて、早めのお昼ごはんを兼ねてブランチにして。
お昼過ぎ、目立たないように時間差で外に出て、駅向こうのバス停で待ち合わせ。
例のコンビニのバイトの女の子は最近姿を見ないから、辞めちゃったみたいだけど、念には念を入れて。
尊流は違う場所で、拾って貰うことになっている。
「お待たせー! 乗って乗って!」
……うん、なんか予想していた通りの車が来た。
赤いボルボ。セダンじゃなくて3列シートのフィールドカータイプなのは、お父様の趣味なのかな?
わりとアクティブ系?
「やあ、はじめまして。妻と息子がお世話になっております」
ルミさんに少し遅れて、運転席(外車でも右ハンドルがあるんだ、知らなかった)から出てきたのは。
ヤバ! 超カッコいい! 会社の社長さんって聞いていたから、恰幅のいいおじさんをイメージしてたけど。
できるビジネスマンって雰囲気の、エグゼクティブイケメン。
普段はビシッとブランドスーツで髪の毛もキチッと固めていそうだけど、今日は少し砕けたスプライトの水色のボタンダウンシャツにノーネクタイ。髪も少し崩している。
うう、メガネ似合いそう。
「……センセ。早く乗って」
目立たないように車内から尊流が声をかけてくる。先に拾ってもらったんだ。
「……はあ、だから嫌だったんだ。お父さんに会わせるの」
「なあに?」
「センセ、こういう真面目っぽいイケメン、好みだろ?」
「そ、そうでも……あるかな?」
「いや、こんな若くて可愛い女の子にそう言われると照れるなあ」
「ダメよ。パパは私のだからね? 舞子ちゃんは尊流ちゃんで我慢してね」
「はい」
「センセ! そこは『はい』じゃないでしょ!?」
なんて、すっかり打ち解けて、和気あいあいとしながら、車はどんどん進み。
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