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「今日はどの辺りに行くんですが」
ルミさんプロデュースでのドライブだったので、行き先は聞いていない。
「えっと、着いてからのお楽しみ、でね」
郊外でインターチェンジに乗り、三区間ほどで左にウインカーが出て………え? ここって。
私の実家の、最寄りのインターチェンジ。
偶然?
「あの、ルミさん?」
「もう、気づいちゃったかな?」
やっぱり。
行き先は、もしかして?
「一度ね。きちんとご挨拶、したくって。余計なお世話かも知れないけど。大事な娘さんの相手が、こんな甲斐性なしだって分かったら、ご両親も不安でしょうし」
「甲斐性なしってヒデぇな。将来性豊かって言って」
尊流があんまり驚いていないのって、もしかしてグル?
てか、エイプリルフールのドッキリとかじゃないよね、まさか?
「……尊流……」
「黙っててゴメン。言ったら、センセ、絶対反対すると思ったから。でも、俺、きちんとしたいんだ。ただでさえ不安な思いさせているから、せめて形式だけでもきっちり固めて。ちゃんと、『お嬢さんを僕に下さい!』って、言いたくて」
「尊流……そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ? 私、ちゃんと待てるよ?」
「……俺が待てないの。センセはどんどん綺麗で可愛くなるし、俺は、正直まだガキだし。油断したら、誰かに拐われそうで、怖い。……ゴメン、不安なのは、俺なんだ」
「大丈夫。絶対、他の人に拐われたりしないから。それに、尊流は、全然大人だし。子供っぽいのも、それはそれで……好きだし」
「センセ……センセだって、たまに子供っぽいよね。そんなところも、俺、好きだし……」
尊流の真剣な眼差しを見つめて。ちょっと頬が赤らんでいて、やっぱり可愛いな、なんて思っていると。
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