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ふたりきりのバースデーパーティーのプレゼントにリボンをかけた「ワタシ」をご希望ですか?
「お嬢さんを僕に下さい!」
お座敷で正座して、深々と頭を下げる尊流。
「どうぞ。貰ってって下さい」
お母さんが、あっさり返事する。
「ちょっと待って?! 華子さん! それ、僕の役目! あと、ここはやっぱり、『許す』とか、『娘をよろしく』とかが、様式美なんじゃないのかな?」
今まで静かだったお義父さんが、慌てて口を挟む。
「なに言ってるのよ? 誰が父親の役目って決めたの? 舞子をずっと育ててきたのは私なんだから、私に権限があるでしょ? 第一、『許す』って何よ? 舞子はれっきとした成人女性なんですから、法律的には親の許可なんて要らないのよ? 未成年のあちらはともかく。それをわざわざお願いに来てくださったんだから、快く差し上げるべきでしょう?」
相変わらずだな、お母さん。と言うか、お義父さん、よくお母さんと結婚する気になったね。
それに、成人なんだから許可は要らない、とか言いつつ、『貰ってって』とか『差し上げる』とか、お母さんこそ娘をモノ扱いして。まあ、快く許して貰ったのは嬉しいけど。
お義父さんは、お母さんに気圧されて、大人しくなってしまった。「僕も憧れていたのになあ、こういうの」って、ぶつぶつ言ってたけど。
10歳も年下のお母さんをずっと好きだった、って佳也子おばさんから聞いていたけど。
今度、もっと深くなれ初めを聞いてみよ。
まあ、ともかく。
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