あいさつ

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香澄が何処かにいて 心配するような事態でもない気配で 和やかに電話が済んで・・・鈴子が 携帯をオフにして席に戻ると 「鈴ちゃん、話が決まったこと、  香澄さんには伝えなかった  ようだけれど?」 今まで静聴していた生嶋が尋ねた。 「香澄は、何でも自分でやって   これた子やねん!大学でもちゃんと  勉強して就職も自分で選んだし  銀行でもなかなかのポジションで  毎日こなしてる。自分の家のこと、  自分の頭で整理して、絶対に  堂々と圭の家には行くわ」 「そうや!鈴子とは違うからなあ」 「ホンマやなあ、圭。鈴子がもし、  後藤寺さんの娘やったら  毎日国会議事堂前でお父さんを  待ち受けて金をセビッとるし、  どんだけの持参金を親に要求するか  考えただけでも恐ろしい、ハハハ」 「いや、オッチャン、私やったら  あんな大阪の山奥の田舎には  嫁には行かへん!おじさまも  おばさまも一度はいらして  あの“年寄り軍団”をご覧に  なってから御返事されたほうが」 「お、おい!鈴子!俺の幸せを  破壊するつもりか?!」 「心配はありませんが、今週は  予定を全て空けましたので  このまま、先に大阪へ出向いて  松堂様と打ち合わせを願えたら」 泰三の申し出に 同じ子供を持つ世代の親である 誠太郎と生嶋は感動していた。
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