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「アンタが早朝・・・家出みたいに
出掛けたもんやから、あの朝、
私、生嶋先生に7時に電話で
叩き起こされたんよ。研究室へ
行ったら・・・ニュースとかで
観たことあるオッチャンやん?」
父親のことがバレた恥ずかしさに
香澄は全身が熱くなった。
「香澄は・・・キチンと
してるからなあ」
鈴子が溜め息混じりに言うと
「さっきもオカンの前で
俺のこと“圭さん”て
“さん”つけて呼んだやん?
お前は“気ぃ遣い”過ぎんねんなあ」
圭は香澄の肩を抱いて
鈴子が“ヒューヒュー”口笛。
「うちの家で、“婚外子”なんて
ビックリすること、なんもないよ」
「ホンマホンマ!この二代くらいかな?
“外に家”を持たへんのは」
「前もあるで。だからこんなに
身内が多い。でもみんな頼りになる」
「“やりよう”“考え方”や!香澄」
俯いた香澄の顎を
圭が猫を撫でるようにクク。
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