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少し巻き戻して・・・
娘・香澄が帰宅した夜、
『私はお妾さんの子供だから
相手の家に嫌われる!』
初めて見せた娘の感情に
香子と泰三は暫く無言で、
娘が堅く閉ざしたら部屋を眺めた。
「・・・ごめんなさい。
気を悪くなさったでしょ?」
「なんで君が謝るの?
こうしておいた僕の責任だろ?
兎に角、“松堂圭”くんだね?
就職が決まっている大学と・・・
従姉妹さんだったっけ?
運よく僕の出身校に在籍なら
知り合いに繋がるだろう。
僕たちが出来ることをして
香澄の幸せが壊れないように
なんとかしなければならない」
「あなた、でもお仕事が・・・」
「そんなのはどうとでもなる。
君を“不幸な身の上”にしての
代議士生活、もういいさ。
娘まで不幸にしてはいけない、
なんとしても」
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