第1章 女上司はタラコ唇~~💖

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結構ガチンコな二人 「…ええと、一人、非賛成ね。じゃあ、その意見は伺わないとね…。風間君、座ったままでいいから…」 ”彼女の逆エールは聞こえたさ。…オレは発言前にテーブルを見回した…。フン!オレを見る目、吐き気を催すわ。こんなもん、ふっとばしてやる!…酒の席じゃなかったら、これ、ないかもしれないが…” 「あのですね…、そもそも我が社の商品開発二課制は、なぜなんですかね?戦後ずっと業界第一線を張ってきた化粧品会社が、あえて、若い有能な女性をアタマにしたセクションが二課ですよね?それの言わんとすることは既定路線の打破、有能な女性をリーダーとしたPTで業界を席巻できる画期的な商品を生みだすことへのトライアルじゃないんですか?それを試すため、2年前の二課制発足でしたよね?」 皆はとりあえず頷いてはいる。 ヤマダ補佐以外は…。 *** 「…その年、我が二課は発足をみました。トップには当時、弱冠31歳の中原課長です。で…、ですよ、それから2半近く…、ざっと10を超える上申を却下されて、今般やっと”レジェンヌ”がそのハードル超えまで達しんたですよね?」 ”フン!皆、フンフンと頷いてるじゃん。…まあ、ヤマダぼさ除きでだけど” 彼は続けた…。 「…その意味するところ、これこそ千載一遇のチャンスに他なりません!それをですよ…、こともあろうに、本社サイドからのパブリティコスト枠を30%遠慮って何なんですか!…こんなん、お前らやる気あんのか…!ですよ。まずは100%予算ゲットでガンガンなマーケティングを練るべし!申し訳ありませんが、ヤマダ補佐のディフェンディング思考は、こと当課では百害あって一利なしです!」 彼は一切の迷いなしにこう言いのけた。 言うまでもなく、その場は何とも重い空気がのしかかり、女性3人を含む全員が表現のしようのない困惑の2文字をそのカオに浮かべていた。 しかし、トシヤはそのプレッシャーを表面上は果敢に撥ね退けていた。 *** ”フン!…皆がどう感じようと、オレは正論を述べたまでさ。レジェンヌが却下されりゃあ、ジエンドだって、この部署は…。ならば、一か八か打って出るしか選択肢ねーだろうが!そんな当たり前のこと、なんで課長しか自覚できてねーんだっての!アホらし‥” この時点で、トシヤは企業人として、明らかに直属上司と心中を覚悟していた…。 素敵な年上のキャリアウーマンたる女上司…。 彼女の為なら何でもやるぞー、ウソでもスタンドプレーでも…。 確かにそこのとこ含有の”勇猛”な気概とかの類でもあった。 だが、少なくとも今の発言はとりあえず下心抜きの、ハングリーな一平社員の根性の入った言及ではあったのだ…。 そして何より、風間トシヤが今般の中原アキ肝いりの企画リップ”レジェンヌ”を、”売れるリップ”と見立てていたことが第一にあった。 *** 「…あのさ、風間…。それ、みんなだってそう捉えてるとは思うよ。だが、実際はその予算、どう使いこなして初期戦略の成果を数字で示せるかだよ。そこまで言うなら、実際にマーケティングのシュミレーション収支示してみろよ。それできなきゃ、気合論で終わりだぞ」 2年先輩の主任ナカタが何ともな現実発言で、トシヤは追い込まれたかに見えたが…。 「主任、具体提示の素案はすでに持ち得ています」 「なら、ここで提示して見ろよ!」 「いえ、できませんね。…いいですか、ポジティブプレゼンテーションは、少なくとも当該セクションの全面理解なくして、それは重箱の隅突きで終わります。僕はまず、このチャンスにリスクを抱きこんでもそれを押っぺす覚悟でですよ、レジェンヌを成功させる意気込みの有る無しを問うてるんです。そこのハードルに我が二課として、ああ無理だわモードってんなら、僕が必死で考えだしたマーケ戦略なんかここで話しても無駄ですって!…課長、まずは、二課としてこのターニングポイントで、玉砕覚悟を踏み絵とした総意を諮って下さい!」 「風間君…、その結果、それでいこうとなったら、明日のミーティングでプレゼンできるのね?」 「はい!」 かくて、老舗の中堅化粧品企業○○社の商品開発企画室第二課が開発した新リップスティックの初期マーケティング戦略を練る懇親会は俄然、ガチンコ会議の様相を呈していた…。
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