世界

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「何か、壮大な話になってないか?」 「同じ事だよ。 お前の娘が考えている事も、この中国の思想家が考えている事も、どちらも証明する事が不可能な問題だ。 そんな中、その中国の思想家はどんな結論に辿り着いたと思う?」 「どんな?」 「少しは自分の脳味噌を働かせろ」 そう言うと、同僚は困った表情をして考え始めた。 「解らない」 「今のお前みたいに、考えても無意味なんだと気づいたのさ」 「何だそりゃ、それじゃ考え損じゃないか」 「つまり、そう言う事だよ。 結果がどうあれ、今我々が生きる世界が変わる事はない。 なら、そんな事に頭を使うより、今この人生を思いっきり楽しんだ方がよっぽど有意義じゃないか?」 「何だか投げやりな回答に聞こえるんだが」 「そう思うなら、相談する相手を間違えたな。 じゃ、俺は食器を下げてくるよ」 依然納得した様子を見せない同僚を他所に、食事を終えた俺は、食器を持ってその場を後にした。 色々と考えを巡らせた所で、最終的に俺達は今いるこの世界を信じて生きていくしかないのだ。 例え、全てが偽りの世界だとしても、それを知る術は俺達にはないのだから。 *** 白衣を着て、仕事を再開する為に研究室に入る。 薄暗い部屋の中、周囲には同じ白衣を着た同僚が様々な器具を使いながら研究を進めていた。
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