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第4章~恋~
これがジェットラグというものなのだろうか?
まだ朝日が昇ってないのに目が覚めた。
窓を開けると暗い海と波の音...
でも怖くはなかった。
(なんだか神秘的だな...)
TVっ子の私がこっちへ来て、
気が狂うのではないかと思ったけど、TV無くても大丈夫だった。
何故だろう...初めて見るもの感じるもの全てが新鮮で感動的だからTV観るよりも、楽しいってことなのかな?
フラ、楽しかったなぁ、またやってみたい。
カイが踊るフラも見てみたい。
そんなことを考えていたら、少しずつ回りが、明るくなってきた....あれ?
窓から身を乗り出して見てみると、10人越えるくらいの人達が海に入ろうとしていた。
サーフィン?
いや違う、ボードは持っていない。
耳を澄ますと何やら海に向かって、何か言っている。
(なんだろう?もう少し近くまで行ってみよう)
部屋を出て下に降り、プールサイドから浜辺に行ける階段を降りる...と、
カイがその中にいた、プアもレフアもいる。
昨日のおばさんもいるけど。
(なんだ?お経みたいな....あ!)
そう、それは飛行機の中でカイが唱えていた、お経みたいなのとよく似ていた。
手を叩き始め、そして...海に入り始めた。
(海に浸かってる~冷たくないのかな?)
腰まで入っていた。
みんなに気づかれないように、そーっと側に近づく。
(あー!頭まで入った!泳ぐのか?)
心の中で私なりの実況中継しながら、釘付けになっていた。
最後は1人づつお互いに例の鼻と鼻をつけての挨拶......私されてないなぁ、あれ。
(まだ部外者扱い?日本人だから?フラ踊ってないから?)
ハテナマークいっぱいだった。
だから、知りたかった。
もっと知りたかった、フラのこと、ハワイのこと。
(1人だけ仲間外れっぽいな...あたし)
少しカイに近づいたと思ったけど、それは遠のいていった....
「コナ~おはよう!」
自然に頬にキスしてきた、カイ。
(自然すぎるだろ...)
リビングでは朝食の準備が出来ていた。
「さぁ、コナこっちへ」
そこにはママ、プア、お弟子さん?みたいな人が3人座ってた。
「ぐっどもーにんぐ!」
日本人が喋る典型的な発音で言ってしまった。
(英語ほんと苦手...)
「アロハ カカヒアカ!コナ!」
「アロハ カカヒアカ!」
(アロハ?カカカ?グッドモーニングで、返してくると思ったのに)
苦笑いをしながら、カイが言った。
「ハワイ語でおはようって意味なんだよ」
「そうなのね!えっと、カカイカ?」
「カカヒアカだよ、コナ」
「アロハ!カカヒアカ!」
大声で言ってみた、みんな笑っていた。
私も一緒に笑っていた。
何が面白いのかわからないけど、みんなの笑顔が私を笑顔にしてくれる。
「ねぇ、カイ、朝早くから海辺で、みんな何してたの?」
「あぁ、あれね、見てたの?」
「うん、目が覚めちゃってさ」
「なんだ~来ればよかったのに」
「あははは...」
(行けるわけないじゃん、まぁ近くまで、行ったけどね、コッソリ)
「あれは、太陽に祈りを捧げて、身を浄めてたんだよ、俺、昨日帰ってきただろ?だから」
「ふぅーん...」
「コナも明日朝しよう!」
「え?あたし日本人だけどいいの?」
カイが笑った。
「関係ないよ、そんなの。昨日言われただろ?オハナだって」
(オハナ!家族、そういえば言われた)
「私も身を浄めたいから、してみたい!」
「うん、明日の朝やろうね」
微笑みながらカイが私の頭に手を置いた。
またもやドキッとした瞬間だった...
「昼前にパパのところへ行くからさ、それまで散歩しようか」
「うん!」
「準備しておいで」
肩をギュッと引き寄せられた。
さっきから私、なんか変だ...
トクントクンって心臓が高鳴ってる、日本にいるときと違うカイが眩しく見える、側にいるだけで安心していられる、頬にキスされるの待ってる....これって...
やばい!好きになってる?
前から好きじゃなかったの?いや、友達としてか思ってなかったと思う...
カイに恋してしまったらしい。
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