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身を捩ろうとしたが、下半身に男が跨り、完全に動きを封じられる。男の膂力に絶望した。
「お前の性癖は理解してたつもりだけど、お前からしようって言ってきたのに、なんなの?」
「お前って……!」
呼称に親しさは伺えたが全く身に覚えのない言葉に、紗栄子は必死に首を左右に振る。
「私、そんなこと言ってない! 勝手に同意ありにして罪を逃れようったってそうはいかないんだから!」
「はあ?」
これまた不機嫌な声だった、目つきがきつくなり眉間にしわまで寄る──本気で怒らせてしまったか、自分の気の強さを呪った。とりあえずは身の安全を確保しなくてはと次に発する言葉を選んでいると、男が覆いかぶさり、お互いの唇を合わせてキスをした。
「や……!」
慌てて背けたが、右手で顎を固定され強く吸われる。
(え──嘘、気持ち、いい……っ)
こみ上げてくる快楽に気が緩んだ隙に、男の舌が割り入ってきた。
「ん、や……んんっ!」
抵抗の声は塞がれてしまう、懸命に手足をバタつかせ身をよじるが逃げることも叶わない。
男の熱く硬くなった棒が、股間に押し付けられ紗栄子は恐怖する。
(やだ、やだ、やだ、見ず知らずの男とだなんて!)
男は体を起こした、解放されたと思ったがまだだった。
男は笑顔で紗栄子を見つめながら、その両手は愛おしそうに紗栄子の肌を撫で体の側面を下がり、足に到達すると乱暴に押し開いた。カーテンの隙間から光が差し込むだけの室内だが、十分に秘密の場所を見るには、こと足りる。
「や、見ないで……!」
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