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真治は今度こそ、隠すこともなく嫌そうにため息を吐いた。いたずらにしても、やりすぎたと思う。
「仕方ねえなあ、連れて行ってやるよ」
それでも紗栄子の手を引き歩き出す、紗栄子は情けなくも真治の大きな手に頼り甲斐を感じた。大きな背中を見上げた、身長が高い、180センチはこえているだろう。細身だが広く見える背中だった。
身長で言えば、随分低くなったように感じる、部屋の天井も高いようだが、随分小柄なのだと判る、150センチ台だろう。
(なにが、起こってるの……? まさか、夢だなんてことは……)
夢であったなら、先ほど嫌だと思っていた時に目が覚めてほしかった。
そして入った洗面所の大きな鏡に、全裸のまま映し出される自身の姿に見惚れしまった。まさに人形のようだ。顔立ちもだがスタイルもいい、大きい乳房も引き締まったウェストも、細くすらりとした足も女の理想を具現化したようだ。
これが夢なら、大したものである。
「……この子、きっと努力家なのね」
きっと自信もあったことだろう、自分が生まれながらにこの体を持っていたらさぞかし女を謳歌したのでは。
「うん? ああその見た目か、それ、作りものらしいぞ」
「──え!?」
作り物──美容整形か。それを恋人の堂々と話すものなのか、あるいは許可をもらっての手術だったのか、聞いてもいいのかすら紗栄子が戸惑っていると。
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