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つい先ほど行為を終えたばかりだ、冗談じゃないと暴れたが力が入らない。それもそのはず、持ち上げられて足先は床から離れ、自身の体は真治の手とシンクを掴む手で支えられていた、バランスをとることを優先している間に真治が中に入ってくる。
「やっ、ばか! もぉ! はんっ、あん……!」
先ほどとは明らかに違う快楽が全身を貫いた。誘うような声が出ただけではない、侵入されただけなのに全身がひくひくと震えだす。
「──前戯って、大事だなぁ……」
真治の声も掠れた。しっとりと濡れた器は激しく脈打ち真治のものを奥へ奥へといざなう。
「だめ、いや、だめだったら……っ」
紗栄子は必死に抵抗し、足を閉じてばたつかせた。もっともなんの効力もない抵抗だ。
真治は背後からしっかりと紗栄子の腰を掴み固定して、肉と肉がぶつかりあう音を立てながら責める。
「──空羅……っ」
「違う、私は……っ」
真治が呼んだ名をすぐさま否定する。だが言葉は続かない、唇は震えるばかりだ。
ますます激しくなる真治の動きに紗栄子は戦慄する。
「嫌……っ、ダメ、中には……っ」
紗栄子からしたら、赤の他人の男である。
「絶対、嫌ぁ……っ!」
無駄な抵抗だった。
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