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教えるうちに、研究熱心にもなる。まだ子供の中山彩香の顔に似合う手法、色を探すうちにそれを友人たちに褒められ、動画配信でもしたらいいと勧められ始めたのがきっかけだった。
それなりに人気も出てきた、既にいくつも動画を配信しサムネイルはずらりと並んでいる。再生回数はばらつきはあるが10万を超えているものもある、フォロアー数はまもなく三千人だ。
今紗栄子たちが観ているものは先週配信されたものだった。
『えー、今日はフォロワーさんからの質問に答える日です!』
ふくよかになった明るい笑顔が幸いだった、きっと新しい両親の元で楽しく幸せにやっているのだろうと思い、真治は胸を撫で下ろす。
『いっぱいメールありがとうございます! でもビンゴは75までしか数字がないので、ランダムに選ばせてもらって、既にこんな風に番号を振ってまーす!』
言って罫線が引かれた紙を見せる、番号とフォロワーのハンドルネームが記されている。
『では、選びます!』
言ってビンゴマシンを回し、出てきた番号を画面に映した。球と紙を持ち上げ番号が合っていることを示す。
『えーと、ももるんさんからですね。いつもメイク動画、楽しみに観てます、ありがとー!』
画面の外を見ながら話すのは、メールはパソコンから直接見ているからだ。
『小学生の私でも買えるものを教えてくれて助かります、いえいえ! マスカラ、ソランの言うとおりつけてるけど、いつも厚くなってしまってメイクが濃く見えてしまいます。ソランがいう小学生らしいメイクには程遠く、親にもそれはどうなのといわれてしまいます。解決策はありませんか? おお、そうなんだよね、元のまつ毛の量とか長さにもよるから……オッケー、解決策! あのね、まつ毛の先端だけにつけよう!』
画面の中の『彩香』は生き生きとしていた、動画配信にやりがいを見つけたのだと判る。
画面の奥からメイクポーチを手に取ると、マスカラを取り出した。
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