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それは空羅自身が乗り越えたやり方なのか。
『好きな人の事は忘れない、永遠に好きな人、それで、いいと思う』
その言葉は真治の胸にも響いた。
『これじゃ答えになってないかな、でもね、無駄じゃないんだよ! そんなに誰かを好きになれた自分は褒めてあげて欲しい! 犬はハスキーさんの気持ちは大事にして! 本当に会えなくなるその日まで毎日会いに行こうよ! また困ったことがあったらメールしてね! さあて、次の質問!』
再度ビンゴマシンを取り出す。
「──空羅ちゃん、元気そう」
元気にはふたつの意味だ、身体的にはもちろん、あの日のやつれ切った様子は覚えている、心も元気になったのだ。
「よかった。ちゃんと、彩香ちゃんの人生を受け入れたってことだよね」
「──ああ」
真治の返事は短い、涙でも堪えているのかと思ったが、瞳が潤んでいる様子はない。
「好きな人は、永遠に好きな人、か」
真治は呟く、それを言わせてしまったのは自分だと判っている。そうやって、諦めさせてしまったことも。
「素敵な言葉だよ」
紗栄子はそっと真治の頭を撫でて言う。
「達観しすぎだろ、小学生の言葉じゃない」
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