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ふたりしてご飯を流し込み、食器もそのままに身支度を始める。
「えと、私の服って」
「ウォークインクローゼット」
真治がこっちだと促して歩き出す、寝室の奥側にあるドアを開けると、そこだけでもベッドが置けそうな広さがあるクローゼットだった。左右と奥にバーがあり、そこにたくさんの服がかかっていたが──。
「え──空羅さんの趣味って……」
体が血の気が引くのが判った、右側に並ぶ服の数々は──。
「そ。ロリータファッション」
左側にぶら下がる服の下にあるタンスから下着を出しながら真治は事もなげに言う。
「ひえー……」
ギャザーがたっぷり寄ったレースを持ち上げた、サテンのショッキングピンクに黒いレースを多用したワンピースだった。
様子に真治は笑い出す。
「本当に空羅じゃないんだな。いやあ、それは俺も趣味じゃないんで、頼むからやめてくれって言うんだけど、空羅はそういう服じゃないと嫌らしくな。ふたりで出かける時は頑張って控えめなものを選んでくれたけど、まあロリータはロリータだったよ」
「うーん、確かにこの容姿なら似合うだろうけど」
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