【目を開けるとそこには】

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思わず体を抱き締めていた、だからこその整形手術だったのだとわかる。 「ああ。俺がそれを知ったのも交際を始めてから半年くらいしてからかな。ああ、空羅が大学1年、俺は大学3年の終わりから付き合ってる。別にその仕事が駄目だとは言わないけど、やっぱカノジョが他の男とって言うのは嫌かなって言ったけど、そうしないと生きていけないからやめられないって言われてな。俺自身、家は裕福な方だけど、じゃあお前も養ってやるって言えるわけでもないから強くは言えなくて」 真治の声がどんどん小さくなるのが判る、空羅がどれほどの人生を歩んできたのか。 「だから、一緒に住むなら体を売るのはやめてくれって話した、お前は、大丈夫、大分お金は貯まったからやめられるって笑って言ったんだ。でももう普通のバイトはできないみたいだな、就職するまではコンビニとかいくつもバイトしたけど、どれも長続きはしなかった。もう俺も働いてたから無理すんな、勉強だけ頑張れって言ったらほっとした顔したよな」 紗栄子は微笑んだ。 「優しいのね。交際のきっかけは?」
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