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「──そんな」
そんな壮絶な人生があるのだろうか。
「そんな空羅に友達はいない、そもそも学校に行っていないし、大抵は金をくれるおっさんと過ごしてた。でもお金がもらえる分だけ心が辛かった、だから手首を切らずにはいられなかったけど、整形を始めてからは回数が減ったとは言ってたな。痛みと引き換えに美しさが手に入るからな、それでも今のマンションでも1回やらかしてるけど」
言って溜息が漏れた。責めるつもりはないが、さすがに血まみれのバスルームを見せられては怒りと戸惑いがあった。風俗に戻りたいのかと聞くとだんまりだったのがその答えだったような気がした。
「中学生の終わりから整形を繰り返して、朝から晩まで男の相手を。もちろん何度も危険な目にもあったらしい、薬物飲まされたり、集団で襲われたり。それでもやめられなかったのはお金だけじゃないのかもな」
淡々と話す真治に、紗栄子は相槌すら打てない。
「なもんで、箱デリに転身したのが17歳って聞いてる」
「箱デリ?」
「要は、お店でお客を待つ風俗」
紗栄子はああと納得した、風俗街で見るお店だ。
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