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「その頃豊胸もしたって言ってた、もう年齢では買ってもらえなくなったから、体を変えないといけなくなったって。それからまもなくしてソープランドに入ったのは、安心安全だからって先輩嬢に勧められたんだって」
「安心安全って」
風俗は風俗だろうと言う言葉は飲み込んだ。
「その辺の小さな店なんかだと素性も判らないような客も多いけど、ソープランドってとこはきちんとしてんだってさ」
「──はあ」
思わず感心した声が漏れた、そういうものなのだろうか。
「空羅はホルモン剤の注射をして生理が来ないようにしてまで、毎日出勤してたみたいだ。俺と会うのは夕方までで、随分遅い時間から始まるバイトだなと思ってたけど居酒屋とかかなくらいにしか思ってなくて──自分で稼いで勉強も生活もして生きて行かないといけなかったんだ。せめてもう少し楽な人生にしてやりたいと思った、親から受けた仕打ちや体に刻まれたいろんなものを少しずつ払拭できればと思ってたけど──まさか別人になるとは」
「うん。だから。本当にごめん」
「君は?」
「え?」
「紗栄子サン自身は、どんな人生を?」
「語れるほどの生き方はしてないよ」
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