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【目を開けるとそこには】
アラームが鳴り響いていた。紗栄子が設定した音ではない、聞き覚えがないそれは隣室のものかと思ったが、それにしては近くで鳴っていた。
今日は休みだ、ゆっくり眠らせて欲しいと思いながら目を擦り開け、その場所を確認しようとすると──。
「──え?」
目の前に男が眠っていた。そんなはずはない、こんな風に一緒に朝を迎える相手などいない、紗栄子はひとり暮らしだ。
しかし眠っていても判る美男子ぶりに一瞬見惚れてしまった、夢なら続きを見ようかと眠りに落ちようとした時気付いた、紛れもない素肌にまとわりつく寝具の感触を。
「きゃあああ!」
咄嗟に声を上げてしまった。
(うそ、嘘でしょ! 私、鍵、閉め忘れたの!? で、眠ってる間に貞操を……!)
ならば朝まで一緒にいるのはおかしい、犯人に警戒心がなさすぎると思いつつ、なんとか警察でも呼べないかと思案を始める、スマートフォンはどこだろうか、鳴り続けるアラームの出所を視界の端で探す。
その時、気付いた。
「──え……どこ、ここ……」
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